NAIST受験体験記(情報科学)

はじめまして、あめちゅんと申します。

この度奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科情報科学領域博士前期課程に合格しました。

過去に様々な受験体験記を読み、参考にさせていただいたので、少しでも人のためになれるものを残せればと思い今に至ります。

 

 

受験のきっかけ

私は現在、東京にある私立大学の文理融合系学科(という名の文系学科)に属しており、ゼミの主なテーマは社会疫学についてです。大学1年生の頃から情報科学には興味があり、独学で勉強をしつつ将来はエンジニアになりたいと考えていました。とはいえ、現在情報科学について体系的に学んでいるわけではないため将来働くときに知識の無さで苦労することが目に見えていたこと、他学部のシステム最適化に関する授業を受けて感銘を覚えたことから、情報系の大学院へ進学することにしました。

受験校としてNAISTを選択した主な理由は、学部相当の授業が存在すること、興味のある研究室が存在したことです。同様の理由でJAISTも受験しました。

 

受験当日まで

研究室見学編

私がNAIST受験のために行ったイベントは

・2/23 受験生のためのオープンキャンパス

・2/25-26 スプリングセミナー

・4/13 学生募集説明会(AP東京八重洲通り)

・5/18 受験生のためのオープンキャンパス

になります。

2/23 受験生のためのオープンキャンパス

2月時点では現在所属予定の研究室ではない、他の研究室が第一志望でした。そのため、オープンキャンパスではその研究室をメインにまわり、他にも興味のあるものを回って、どのような研究をしているか知ることが目的でした。人見知りなため、在校生と連絡を交換したり、小論文をもらったりしたりはできませんでした。(研究室がきちんと決まっていたら、そこまでできればよかったかと思います。)

2/25-26 スプリングセミナー

スプリングセミナーは2日間(あるいは3日間)研究室を体験してみる、といった内容になります。研究室によって開催していない場合もあり、当時の第一志望では開催していなかったため、他に興味のあるテーマを選びました。(結果としてその研究室を受験しました)

内容としては実際に普段行っている研究を行う、というよりはスプリングセミナーにローカライズしたプログラムを実施していくという形でした。合間合間に在校生とコミュニケーションを取る機会があり、NAISTでの研究や生活などについても詳しく聞くことができました。

もしNAISTを受験するのであれば、情報的にも、モチベーション的にも確実に参加すべきかと思います。

4/13 学生募集説明会(AP東京八重洲通り)

これは普通の説明会です。オープンキャンパスでもほぼ同じ話をされるので、2月や5月に参加できるのであれば参加する必要性は薄いのではないかと感じました。

5/18 受験生のためのオープンキャンパス

2月に参加したオープンキャンパスと同じものです。後で記述しますが、主に研究テーマや小論文に関するアドバイスがほしくて参加しました。 

2月と違う点は、2019年度入学生がいること、より入試に近いので受験に関する情報を得やすいことなどが挙げられます。

ここで過去の合格者の小論文や、昨年度の問題をいただいたり、小論文添削の約束をこぎつけたりすることができました。今思えばここでオープンキャンパスに行っていなければ合格していなかったと思います。

もし2月か5月片方しか参加したくない、時間がないということであれば、5月に参加することを断然おすすめします(とはいえできるなら両方参加したほうがいいとは思います)。

 

試験勉強編

NAISTの受験は2020年度より

・英語(TOEICなどのスコア提出) 30点

・数学の口頭試問 30点

・面接(事前提出の小論文を含む) 90点

・書類審査 50点

の計200点満点です。

TOEIC

NAIST情報のホームページに2019年度受験者のTOEIC合格者平均点が載っています。

日本語受験者の平均が670点、英語受験者の合格者平均が820点だそうです。

年々平均点が上がってきているみたいで、2020年度の入試はもしかするともう少し高かったかもしれません。

とはいえ配点は30/200のため、そこそこのスコアを取得して早めに切り上げるべきではないかと思います。

また、一般的にTOEICのスコアは2年前までのものしか使えないと言われていますが、少なくともNAISTの2020年度入試では、2016年4月以降のスコアであれば、公開テストでもIPでも構わないみたいです。

ちなみの僕は640点(4月に受験)で提出しました。(1月の大学で受験したIPでは470点だったので健闘したほうだと思っています。)

使った参考書を羅列しておきます。

 

TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)

TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問

【新形式問題対応/CD-ROM付】 TOEIC(R) L & R テスト 究極のゼミ Part 2 & 1

【新形式問題対応/CD-ROM付】 TOEIC(R) L & R テスト 究極のゼミ Part 3 & 4

公式 TOEIC Listening & Reading 問題集 1

公式TOEIC Listening & Reading 問題集2

 

とにかく単語を詰め、文法書を2周しました。

並行しながらリスニング対策を究極のゼミで、仕上げに公式問題集を2周しました。

(そんなに勉強して640点かよと思われるかもしれませんが、私立文系なのにセンター英語6割しか取れないくらいには英語が苦手なので許してほしいです。)

とはいえ英語に関しては様々な勉強法が転がっているので、あくまでこんな参考書を使って点数上げたよ、という紹介程度にしたいとおもいます。

数学

NAISTの数学は筆記試験ではなく、ホワイトボードで説明しながら解くといった口頭試問の形式をとっています。また、口頭試問の前に10分間問題を解く下見時間があります。下見会場にはA4白紙の用紙と鉛筆がおいてありますが、口頭試問の会場に持っていくことはできません。

解析2題、代数2題の中から1題ずつ選んで解きます。

NAISTホームページに出題範囲などが詳しく載っているので参考にしてください。

入試に関するQ&A | 情報科学領域 | NAIST 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学

(先程のTOEIC平均点に関しての記述もあります。)

前提条件として僕自身は大学ではほぼ数学に触れておらず、高校生の頃の数Ⅲまでの知識しかありませんでした。そのため、基本的に理系大学1,2年レベルが出題範囲ですが苦戦し、特に線形代数はまともに勉強したことがなかったためゼロから知識を入れました。

用いた参考書を以下に挙げます。

 

スバラシク実力がつくと評判の微分積分キャンパス・ゼミ―大学の数学がこんなに分かる!単位なんて楽に取れる!

 

スバラシク実力がつくと評判の線形代数キャンパス・ゼミ―大学の数学がこんなに分かる!単位なんて楽に取れる!

改訂版 大学1・2年生のためのすぐわかる数学

 

様々な受験体験記を見ていて、キャンパスゼミを使っている人は多かったように感じています。僕はそれに追加して書店で見かけた「大学1・2年生のためのすぐわかる数学」を使いました。解説はあまり丁寧ではなく問題演習用としての利用でしたが、NAISTの入試に出そうな問題がまとまっている感じがし、対策に向いていたと思います。

また、過去問としてshirayuさんがまとめてくださったものを参考に、この中で解けない問題をなくそうと勉強をしていました。(shirayuさんありがとうございました。)

https://www.shirayu.net/note/naist/data/exam.pdf

小論文

NAISTの入試において、小論文は非常に重要となります。配点の半分近くを占める面接は小論文に書いた内容をベースに行われるからです。

僕の場合4月からテーマを練り始め、5月のオープンキャンパス助教に相談してから書き始めました。

その後、小論文を書き、印刷して友人にペンとともに配布し、注意されたものを訂正し…を繰り返して完成させました。とにかく様々な人に見てもらうことが大切だと思います。とにかく僕の場合は分野転向するため、詳しく知らない人から見ても理解できるかを友人を通して試せたのはよかったと思います。(非常に感謝しています。)

また先輩方からは、自分で説明できない内容は絶対に書かないようにと言われたので、自分が理解していることだけを書くようにしました。

ここに自身が書いた小論文を貼っておきます。

NAIST_essay/NAIST_essay.pdf at master · amechun/NAIST_essay · GitHub

面接対策 

面接では、はじめ3分間で小論文に関するプレゼンを行い、その後質疑応答が行われるという形です。

こう聞かれたらこう返す、といった面接リストを事前に作成しました。

また、特にプレゼンの練習に力を入れていました。PCで面接練習を撮影していると、気がついたら目が上の方を向いていることに気づき訂正できたので、録画して見ることをおすすめします。またプレゼンを大学に友人に行い、様々なアドバイスを貰いました。

小論文もそうですが、様々な人に見てもらうということが非常に大切だと思います。

 また、NAIST受験の2日前にJAISTの入試があったため、そこで聞かれた内容についても再度答えられるように準備をしました。

受験当日

試験まで

試験は午後からだったため、ゆっくりと支度し集合時間の1時間前ほどに会場付近(東京受験だったため品川駅)に着きました。

会場に着き、受付を済ませました。TOEICは事前に提出していたため、その場での提出はしていません。人によってはここで提出することになると思います。

その後控室で自身の試験時間を確認し、1時間以上時間があったため数学の問題集を見たり、面接の質問リストを見たりしていました。

また、ここでアンケートについて答えます。内容としてはどのプログラム(データサイエンスプログラムなど全部で7つあるやつです)を検討しているか、参加したNAISTのイベントなどです。

数学

はじめに問題の下見室へいき、10分間問題を見ました。拍子抜けするほど問題が簡単だったため、2分程でどれを解くか方針を固め、あとはひたすら計算をしていました。

そこから口頭試問の会場へ移動するわけですが、部屋の外で5分ほど待たされました。

その間に説明の手順を頭の中で構成していたので、精神的な余裕を得ることができました。

移動後、会場には教授(?)と思われる人が2名いました。受験番号を伝えたあとに、12分間の間2題を解くわけですが、うなずきながら聞いてくれるのでやりやすかったです。また、計算ミスをすると指摘してくれます。(何故か一度計算ミスをしていないのに指摘され、もうひとりの教授にあってるよ平気平気と言われました。)

想定以上に時間が余ってしまったため、線形代数の問題について追加の質問をされました。少し慌ててしまって答えられませんでしたが、最低限問題についてはしっかりと解けているみたいだったのでとりあえず切り替えて面接に臨もうと思いました。

過去の体験記を見ていると、答えなかった方の問題について聞かれた人もいるみたいなので、余裕があれば方針だけ立てておくといいのかもしれません。

出題された問題を載せておきます。解析、代数ともに自身が解いた問題しか覚えていません。もし怒られたら消します。

解析は普通に解くだけ。代数はこれを満たすb1,b2,b3の条件を求めろ、みたいな感じでした。

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 面接

数学の試験が終わり、体感としては出来が良かったので落ち着いて面接に望みました。面接でははじめにアンケートを提出し、その後、他にどこを併願しているか、NAISTが第一志望かなど聞かれました。(説明会のときに第一志望かどうかは結果に影響しないと言っていました。)

その後、3分間のプレゼンを行いそれについての質疑応答、その他質問をされました。

覚えている内容を列挙すると

・データはどのようにして集めるのか

感染症の伝播に関する研究をする上で、人間と動物の扱いでどのような違いがあるか

・〇〇って知ってる?(内容は忘れました)

プログラミング言語は何に触れたことがあるか

・学部ではどのような研究をしているか

・数学は得意か

・(大学の成績票を見ながら)この授業ではどのようなことを学んだか

・制御工学について勉強したことあるか

・ソートにはどんな種類があるか

などです。

2日前に受験したJAISTでは面接が30分あり、かなり突っ込んだ質問をしてくるのに対して、NAISTは面接時間が短いのもあり、答えやすい質問が多かったように感じています。(自身が文系出身だったからかもしれませんが。)

 

試験後

 NAISTの試験が7/8に終わってから7/19の発表まで非常にドキドキしながら期末試験に向けた勉強をしていました。先に受験したJAISTの合格が13日にわかりほっとしましたが、それでも緊張はしていました。(この期間に競技プログラミングをはじめました。)

発表日当日は大学に向かう電車の中で、ホームページから合否を確認し、すぐに両親へ報告をしました。

2020年4月よりNAIST修士学生として研究を進めていくので、それまで卒論を書いたり、勉強をしたり、旅行をしたりしていたいと思います。